ガーシュインのこの2曲の最初のコードの違いと歴史から推測される事です。あくまで1つの説です。
コードは原曲に近い形で進めます。
譜面のように But Not~ は1度から、Love Is~ は2度セブンスから始まります。But Not~ は現在は2度セブンスから始まる事が多いですが、原曲は色々な事から1度からと思われます。多くのガーシュインの曲は1度始まりで、これらの曲が作られた1930年代は、まだまだそういう時代です。
しかし Love Is~ は2度セブンスから始まっています。メロディを考えると1度始まりで合いますし、時代を考えても1度で問題はないです。
これをどう考えるか?
But Not~ はガーシュインが生きていた1930年の著作権登録のようで、コード付けを含め全てガーシュインの考えに寄る作曲です。
ところが Love Is~ はガーシュインの死後の1938年の著作権登録になっていて、ガーシュインはこの曲のコーラス部分のメロディは作ったのですが、曲を完成せずに亡くなった、とされているようです。
その後、Verse は オスカー・レヴァント(Blame It on My Youth の作者)が補作し、全体をまとめ上げたのがヴァーノン・デューク(April
in Paris や Autumn in New York の作者)と言われているようです。
この話が本当だとすると、ヴァーノン・デュークがコード付けをしたのではないか、とも考えられます。
ヴァーノン・デュークはガーシュインを大尊敬し、ガーシュインの作品を研究していたようです。そこで、But Not~ の5小節目の2度セブンスのコード付けに感心したヴァーノン・デュークが
Love Is~ にも適用したのではないかと。考えられない話ではないです。
そうでなく、当初からガーシュインが作曲したとすると、But Not ~ の5小節めの2度セブンスを Love Is~ では最初から使ってみよう、という当時では大胆なアイデアで作った事になります。
メロディからもアイデアは考えられます。
・But Not ~ は1、2小節目と5、6小節目のメロディを同じにしてコードは変える。
・Love Is~ は1、2小節目と5、6小節目のメロディを変えてコードを同じにする。
これも1つの説として成り立つと思います。
今とはなっては分からない事ですが、とても興味深い話です。